#42『寮生活』 佐俣嘉一(2年)
【名前】佐俣嘉一
【出身】FC東京U-18
【ポジション】FW
【石嶺幸也から見た印象】
彼は高校時代、FC東京U-18でプレミアリーグを戦っていました。高校時代から高身長を活かし空中戦や前線での駆け引きを制し、彼の持ち味でもあるチャージングシュートは相手キーパーに脅威を与える大きな武器です。
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『寮生活』
こんにちは。産業能率大学2年の佐俣嘉一です。
大学生活が始まって以来、これまでの人生の中で最も大きく変化したと実感しているのが、「寮生活」です。振り返れば、寮生活は、ピッチの外にある“もう一つのフィールド”での戦いでした。寮生活で感じた思いの丈を綴らせていただきます。
ジュニアユースからユースにかけて、実家から学校や練習場へ通う日々が続いていました。遠征や合宿、修学旅行、また高校卒業後の免許合宿などで外泊の経験はありましたが、最長でも2週間程度に過ぎませんでした。つまり、それまでの私にとって「生活の拠点は常に自宅」であることが当たり前だったのです。
そんな私が、大学入学とともに寮へ移り住み、親元を離れての新生活をスタートさせることとなりました。部屋の整理整頓、生活リズムの維持、日々の食事や洗濯など、全てを自分一人で完結させなければならない状況は、正直なところ当初は戸惑いの連続でした。
特に洗濯に関しては、サッカー部としての合宿経験が助けにはなりましたが、それでも洗剤の選び方、干し方、素材別の扱いなど、生活の細部には多くの学びが隠されていました。
食事に関しては、実家では母が毎日用意してくれていたため、食卓に食事が並ぶことが“当然”だと錯覚していた自分に気づかされました。しかし、寮生活ではその“当然”が成立せず、昼食は自らの手で作り、自らの体を支える必要がある現実を突きつけられたのです。
なかでも最も苦労したのは「自炊」です。これまで料理に本格的に取り組んだ経験はほとんどなく、包丁の扱いから火加減、調味料のバランスに至るまで、まさにゼロからのスタートでした。最初の頃は焦がしたり、味が極端だったりと、毎日の食事作りがまるで“戦い”のようでした。
しかしながら、自炊という“日常”に継続して向き合ううちに、少しずつ楽しみや工夫ができるようになってきました。たとえば、「鶏むね肉+野菜炒め+ご飯」といったベーシックな構成に始まり、調理法や味付けを変えてバリエーションを生み出すといった柔軟な発想が生まれてきました。そうした試行錯誤が、食への興味と栄養への意識を高めていったのです。
その背景には、大学入学と同時に本格化したウエイトトレーニングの影響も大きかったように思います。ユースでは、クラブから提供される夕食に栄養成分やタンパク質の量が明記されており、特に自分で考える必要はありませんでした。しかし、寮ではすべてが自己責任。自分の体は自分の選択と手によってしか作ることができない――その事実を、強く実感するようになりました。
特に、サッカー選手にとって欠かせないタンパク質の摂取には細心の注意を払い、鶏肉や魚、卵、大豆製品を意識的に取り入れるようになりました。朝食後やトレーニング後にはプロテインを摂取し、ゆで卵やバナナなども補食として常備。今ではこうした習慣が完全に生活の一部となっています。
このような経験を通じて身についたのが、「自立」と「自己管理」という二つの力です。時間・体調・栄養を一つの線で結び、それらを自分の力で統合していく力は、サッカー選手としての礎であり、同時に一人の人間としての成長を意味していると感じます。
今では、スーパーで食材を選びながら「今日はどんな味付けにしようか」と想像する時間さえ楽しみに変わりました。かつては“苦行”だった自炊が、今では“鍛錬の場”であり“創造の時間”となっています。
これからも、こうした生活習慣をパフォーマンス向上へと確実に結びつけ、「自炊力=競技力」となるよう挑戦を重ねてまいります。そして最終的には、自分自身の手で「絶対に負けないフィジカル」を築き上げること――それが、今の私の目標です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
2025/08/22 22:48