#13『試練と挑戦』 丸山大貴(3年)
【名前】丸山大貴
【出身】松本国際高校
【ポジション】GK
【石田怜也から見た印象】
丸は、どんな時も明るく前向きで、周りを自然と笑顔にする男だ。サッカーの時は普段の優しい丸とは違い、鋭いコーチングで後ろからチームを支える。1対1のセービングも抜群で何度も救われた。また丸は筋トレが好きすぎて、一時期はトレーナーから「筋トレ禁止令」を出されたほど。大学でもリーダーを任されることが多く、困ったときには必ず頼れる存在だ。そんな彼が何を考えているのか。彼のブログを読めば、きっと元気と勇気をもらえるに違いない。
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『試練と挑戦』
「筋肉は裏切らない。」
これは、みなさんが一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。しかし、サッカー選手にとって筋肉は、鍛え方を間違えれば容赦なく裏切ってきます。というよりも僕が筋肉を裏切ったのかもしれません。
昨シーズン、私は「個人としてもチームとしても結果を残す年にする」と決意し、試合に出続けること、成長し続けることを目標に掲げていました。
しかし、5月中旬以降、私はそのすべてを大きく狂わされる“試練”に直面しました。
それが、「ケガ」と「病気」です。
まず、1つ目の試練は「ケガ」です。
身体を大きくするためにある日取り組んでいた筋トレで、やりすぎてしまい、明らかに違和感が出てしまいました。加えて、誰よりも上手くなりたい、早く追いつきたいという焦りから、自主練習でも過度な強度のトレーニングを続けてしまっていました。
にもかかわらず、当時の私は、「昨日の試合でちょっと痛めたかもしれません」と徳永トレーナーに虚偽の報告をしてしまいました。しかし、本当は、ベンチプレスの1RMの限界を更新するために前日にベンチプレスで追い込んだのが原因です。(反省しています。)
筋肉は裏切らないのではなく、鍛え方と使い方を誤れば普通にケガをさせてきます。
ただ、ここから私は身体の使い方を見直すチャンスを得ることができました。
筋肉をただ大きくするのではなく、ゴールキーパーとして“使える”身体を作るため、トレーニングメニューを1から再設計。除脂肪体重の増加、体脂肪の見直し、GK動作に直結するトレーニングに切り替え、柔軟性や可動域にも目を向けました。
同時に、睡眠時間の確保や食事管理といった日常の習慣も見直し、ケガを予防できる身体づくりを習慣化していきました。
そして、2つ目の試練が「特発性てんかん」という病気です。
これは、今まで多くの人には話していませんでした。
ある日、プレー中に意識が段々遠のいていき、「ここはどこだろう」「自分は今何をしているんだろう」と感じることがありました。最初は疲労だと思っていましたが、次第に回数が増えていくにつれ、自分自身に恐怖を感じるようになりました。誰にも相談できず、不安だけが積もっていく中で、私は勇気を出してトレーナーやキーパーコーチに打ち明けました。
そこから病院で複数の検査を受け、正式に「特発性てんかん」と診断されました。医師からは、「このまま症状が悪化すれば、サッカーを続けるのは難しいかもしれない。」と告げられました。その瞬間、頭が真っ白になりました。
「これまで積み重ねてきた努力は何だったのか」「夢はここで終わってしまうのか」と、全てが音を立てて崩れていくような悔しさ、無力感、やるせなさに押し潰されそうになりました。それでも、私にはトレーナー、コーチ、スタッフ、友達、そして家族という支えとなる人たちがいました。
誰かに頼ることの難しさと、それが与えてくれる力の大きさをこの時、改めて感じることができました。
その後、医師と相談を重ねた結果、薬を服用しながらならプレーを継続できることがわかり、「もう一度プレーできるなら、今度こそ全力でやり切りたい」と心から思いました。
それが、私が再び“挑戦”のギアを入れ直すきっかけになりました。
昨シーズン、結果だけを見れば、ケガと病気で棒に振ったような1年だったかもしれません。
ですが私にとっては、自分と向き合い、変わる覚悟を決めた、人生で最も大きな学びの年になりました。
今シーズンの目標は明確です。
「ケガをしないこと。」
当たり前のようでいて、当たり前にできなかった自分にとっては、これこそが最大の挑戦です。継続的にプレーし続けること。それができなければ、プロになるという夢にも近づけません。
この1年で学んだことは、身体のケアの大切さ、人に頼ることの勇気、そして、自分の弱さを受け入れた先にこそ本当の強さがある、ということです。
これからも、試練はきっと訪れると思います。
でも、何度倒れても立ち上がり、挑戦をやめなければ、必ず道は開けると信じています。
だからこそ、私はまた歩き出します。
プレーできる日々に感謝しながら、夢の舞台へ、一歩ずつ近づいていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2025/05/16 10:02