『はみだして馴染め』 笠間吉孝
私の自主練パートナー、オープンの極意を探求し続ける同志・三井匠からバトンを受け継ぎました。地球社会共生学部3年の笠間吉孝と申します。
長く拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
皆さんは、「0歳から20歳までの体感時間と、20歳から人生を終えるまでの体感時間はほぼ同じ」という話を聞いたことがあるだろうか。
この言葉を初めて聞いたとき、私は強い焦りを覚えた。
振り返れば、これまでの20年間は初めて経験することばかりだった。新しい出会い、新しい環境、新しい価値観。その一つひとつに好奇心を持って飛び込み、自分なりに吸収してきたからこそ、時間は濃く、長く感じられたのだと思う。だからこそ、「この先も同じ毎日を繰り返していたら、人生はあっという間に過ぎてしまう。」そんな思いを抱えながら、惰性で生きるのではなく、一日一日を自分らしく刻もうと決め、もともと決まっていた留学に向け去年の8月に日本を飛び立った。
未知の環境で自分の常識を壊し、新しい価値観に触れる。時には自分を変え、時には自分らしさを貫く。その繰り返しは、自分にとって何より心地よい挑戦だった。当初は環境の違いに戸惑い、悩むことも多かった。しかし、その逆境の中でこそ、自分の中で揺るがせてはいけない信念や、自分の武器に気付くことができた。同調して馴染むのではなく、「はみだして馴染む」。そんな生き方が自分らしいのだと実感した。
そんな留学生活の中でも、サッカーは欠かせない存在だった。交換留学生だったため、カセサート大学では公式戦への出場は認められなかった。それでも「どうしてもサッカーがしたい」と拙い英語で何度も頼み込み、練習への参加だけは許可してもらった。正直、最初は「自分の方が上手いだろう」と少し過信していた。しかし、その考えはすぐに覆された。細かな戦術に関する知識は十分ではないが、身体能力や技術に優れた選手が少なからずいた。やはり小学校二年生からセンターバック(そんなやつ聞いたことないと同学部の佐々木登羽に揶揄される毎日)、ドリブルをしたことがない私には周囲を魅了するプレーはできるはずがなかった。
一方で、タイ駐在の日本人で構成される社会人チームにも参加させていただいた。大学まで競技を続けた方や元プロの方々が、大人になっても本気で勝利を目指し、一つのボールを追い続ける姿はとても印象的だった。活動後の食事で聞いた現地での仕事や人生の話は、自分がどのような社会人になりたいのかを考える大きなきっかけにもなった。
これら留学で得た経験は、間違いなく人生の財産である。
それでも、心のどこかに埋まらないものがあった。
その理由は、留学中に青学が天皇杯予選で格上相手に勝利する姿を画面越しに見たとき、そして帰国後に決定戦をスタンドで観戦したときに分かった。一人ひとりが身体を張り、仲間のために走り続け、格上相手に勝利をつかみ取る姿に胸が熱くなった。留学していたため、トーナメントが始まってからの苦悩や過程を知らない私でさえ、心を動かされた。
「あのピッチに立ちたい。」
その思いが、自分の中で何よりも大きくなっていた。
だが帰国後、待っていたのは厳しい現実だった。一番下のカテゴリーからのスタート。留学中もできる限りボールには触れていたが、帰国後最初の紅白戦で、何もないところで芝に足を取られて転んだ瞬間悟った。当然の結果であった。そんな中、精神的な支えとなったのは同期の存在だった。何度大怪我を負っても立ち上がる高須。「俺が決めんだよょょおお」と今シーズンの抱負を語る松田。そして自主練パートナーのタクをはじめとする仲間たちと、午後練後に日が暮れるまでボールを蹴り続けた。その積み重ねが少しずつ自信となり、沖縄遠征を経てコンディションも戻り、カテゴリーを上げることができた。
そして、その経験を通して気付いたことがある。
どれだけ新しい景色を見ても、どれだけ刺激的な環境に身を置いても、自分の心が最も動くのは、青学のエンブレムを背負い、仲間と勝利を目指して戦う瞬間だということ。
バラバラだったチームが、一つのゴール、一つの勝利をきっかけに歓喜へと変わり、一つの方向へ進んでいく。その一瞬のために日々もがき、苦しみ、それでも努力を続ける。私は、この環境が好きだ。だからもっと成長したい。
20歳までの時間が人生の半分なら、残された時間もまた、自分次第でいくらでも濃くできる。
ONE OK ROCKの『Stand Out Fit In』には、「周りに合わせて自分を失うな。自分を貫いたまま社会に馴染む道は必ずある。」というメッセージが込められている。留学を通して新しい価値観に触れ、自分を変えることも学んだ。しかし同時に、自分らしさだけは手放してはいけないことも学んだ。この曲は、そんな私の生き方を後押ししてくれた一曲であり、終わりが見え始めたサッカー人生を駆け抜けるための揺るがない軸にしていきたいと思う。
まだ何も成し遂げていない。個人としても、組織としても、誇れる結果はない。
それでも今シーズン、チームは少しずつ前へ進み、自分自身もようやくスタートラインに立てた気がしている。
青学のエンブレムを背負い、最高の同期とともに、1番記憶に残るような瞬間を残りの競技人生で作っていきたい。
続いては、大暴れスリートップ(田口・谷・宮波)の一角、宮波太蔵です。
彼の内に秘めた熱い想いに、ぜひご注目ください!!
2026/07/20 20:04