青山学院大学サッカー部オフィシャルサイト

こんにちは、教育人間科学部4年の大屋大和です。
引退してすぐに、これまで行けなかった海外に行き、パリの街でモーニングエスプレッソを飲みながら、サテA監督のゆうとさんの「ゴール前はエスプレッソを飲むくらいの気持ちでいい」（大事な場面ほど落ち着いていればいい）という言葉を思い出しながら、この引退ブログを書いています。

まさか自分が引退ブログを書く日が来るとは思ってもいませんでしたが、エスプレッソで気持ちを落ち着けながら、今の想いを素直に綴ろうと思います。

これまでの17年間のサッカー人生を振り返り、「大屋大和」というサッカー選手について一番に思ったことはーー

『サッカーに向いていない』

試合中、相手と喧嘩した際などに「お前サッカー向いてねーよ」と強く煽る選手を見かけることがあります。実際に自分が言われたことはありませんが、もし言われたら一番嫌だなと、その言葉を聞くたびに思っていました。

しかし、引退した今改めて振り返ると、その言葉はまさに自分のことだったのかなと思います。

といっても、身体能力や運動神経、サッカーセンスが人より劣っていたわけではありません。足もそこそこ速いし、体力もチームトップレベルに自信があります。運動神経も比較的良い方です。

では、何がサッカーに向いていなかったのか。
自分が思うに、それは“性格”の部分です。サッカーは結局ここが一番大事なのだと、今になって強く感じています。

そんな自分の性格を一言で表すなら、「欲張り」です。

突然そう言われてもピンとこないかもしれません。イメージしやすいように、ホテルのバイキングで例えてみます。

旅行先などでバイキングに行ったとき、ひとつのお皿に信じられないほどの種類の料理を山のように盛っている人を見たことはありませんか？ どうやってこぼれていないのか不思議になるような盛り方をしているあのタイプです。

あの“お皿の状態”が、自分の性格とほぼイコールだと思っています。
普通に盛れば数種類、好きな料理だけを盛れば2〜3種類しかのらないところを、積み方や並べ方を工夫して、どうにかして何十種類もの料理を詰め込もうとする、そんな性格なのです。

ただ、サッカーに置き換えると、この性格は「不向き」だったのかなとも思います。

「二兎を追う者は一兎も得ず」という、よく耳にすることわざがあります。
先ほども触れたように、自分の“欲張り”な性格は、サッカーの世界ではまさにこのことわざのままになってしまったのだと思います。
バイキングで色んなものを盛りすぎても、好きな料理だけをしっかり盛った人の方が満足度が高かった、そんな感覚に近いです。欲張ると負けるのが勝負の世界なのだと思います。

今振り返ると、欲張り続けた結果、17年間のサッカー人生で「大屋大和」というサッカー選手像を固めきれないまま引退まで来てしまったと思っています。
どのポジションもある程度はこなせるし、どんなプレーも最低限はできる。けれど決定的な武器がない。いわゆる「何でもできるけど、何もできない選手」が自分なのです。

思い返せば小学生の時からそうでした。キーパーとして選抜に入るほど上手く、楽しさも感じていいながら、「フィールドもやりたい、キーパーもやりたい」と、どちらも手放さない“欲張りサッカー”をしていました。
中高も変わらず、大学に入ってからも、ボランチ、サイドバック、ウィング、そして4年目には初めてフォワードでシーズンを送るなど、常に色んなポジションを行き来してきました。

周りの選手たちは、自分のポジションを決め、自分の武器を磨き、それを武器に戦っていました。
それに対して自分は、4年間ずっとフワフワとした状態でサッカーをしていたと、今になって強く感じます。

自主練の時も、自分の武器が定まらないまま、他の人がやっている練習を見ては
「俺もそれやる」「あのプレーできるようになりたい」
と、どれも中途半端な“尖らない武器”を増やし続けてしまいました。

その結果ははっきり表れ、大学ではトップチームに上がっても、自分の武器を表現できず、またサテAに戻るといったことを繰り返していました。
トップで活躍する選手は、自分が持っている何種類もの“薄い武器”の何倍も尖った武器をひとつ持っていて、そこに気づけずに過ごしていたのも自分の弱さだったと思います。

ある程度信頼されていても、特徴がなければ生き残れないのがサッカーの厳しさなんだと痛感しました。

今でも「あの時こうすればよかった」「あの決断は違ったのかもしれない」と後悔することはたくさんあります。
特に大学4年間は、チームとしても個人としても結果がついてこず、悔しい思いばかりでした。
引退試合であるプレーオフも勝ちきれず、ほろ苦い思い出になってしまったのも強く心に残っています。

だからこそ後輩たちには、自分が選んだ道ならば強い意志を持って突き進んでほしいと心から思います。
選んだ道を戻って、また別の道を見て…と欲張っていると、時間は本当にあっという間に過ぎていきます。サッカーができる時間は限られています。
どんな練習をして、どんな選手になるのかは本当に自分次第です。
普通から外れることを恐れず、自分を信じてほしいです。
限られた時間の中で、全身全霊の努力で“なりたい自分”に向かって突っ走っていってくれたら、とても嬉しいです。


ここまで少しネガティブな話が続いてしまったので、最後は少しポジティブに締めたいと思います。

まず強く感じているのは、それでも自分が本気で上を目指し、欲張り続けてきたサッカーは、とにかく“最高に楽しかった”ということです。
小学生から大学生まで、選手としての使い勝手の良さから様々な試合に出してもらい、普通なら味わえない経験を多くしてきました。
キーパーが上手すぎて上級生の試合にキーパーとして呼ばれたり、ポジションの幅広さを評価されて「東京都選抜」に選ばれたりあれは、欲張り続けて色んなことに挑戦してきたからこそ巡ってきた経験だったのかもしれません。

高校3年と大学4年では、チームづくりの面でも最高に楽しんだと思います。
チーム全員のストロングを最大限に活かしたチームづくりに勤しみ、試合でも自然とみんなのためにプレーしていたのも私らしかったと思います。
キャプテンとして奔走し続けたことは、チームメイトからの信頼にもつながっていたのかなと感じています。
そして何より、そんな自分を信じてキャプテンに任せてくれたゆうとさんには、本当に感謝しています。

いろんな立場で、いろんな役割で、人より多くのポジションを経験し、人より多くのプレーに挑戦し、本当にサッカーを全力で楽しんできたと思います。
この17年間のサッカー生活は、間違いなく価値があって、かけがえのない時間だったと自信を持って言えます。

「大屋大和」というサッカー選手は、もしかしたらプロを目指すに相応しい選手ではなかったかもしれません。“成功”とは遠いものだと思います。
それでも、17年間努力し続けてきたことは、“自分にとっての正解”に限りなく近かったと今でも信じています。

だからこそ、サッカーで得たすべての経験を胸に、次のステージでも自分らしく挑戦し続けようと思います。
特に同期のみんなとは、これからは別々のフィールドに立つけれど、互いに成長し合える存在でいられたら嬉しいです。

最後に、同期のみんな。
4年間一緒に戦い続けてくれてありがとう。
遅いかもしれないけど、4年目になってみんなが本当に素敵な仲間達であったことに改めて気づくことができたと思います。
学年会に毎回ほぼ全員が参加するなんて、今思うと幸せなことだなと感じてます。

そして、家族のみんな
17年間支え続けてくれてありがとう。
4年ぶりに観た試合の感想を今度聞かせてください。

長文になってしまいましたが、最後まで読んでていただき、本当にありがとうございました。
今後とも青山学院大学体育会サッカー部への変わらぬご支援・ご声援をどうぞよろしくお願いいたします。