青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
リオ五輪・ブラジルで思う
 予選リーグ敗退。オリンピッU23日本代表の戦いは、開催都市ブラジル・リオデジャネイロに辿り着く前に終了した。20年以上にも渡って強化が進められるなか、なぜ日本代表は勝ち進めないのだろうか。世界を見れば、常に決勝トーナメント進出を果たす国(代表チーム)は決まっている。その常勝国に日本が仲間入りできないのにはどんな理由があるのだろうか。
 今回、私がブラジルを訪れたのは、この日本代表チームに二人の卒業生が選考されていたため、激励の意味も兼ねて足を運んでみた。オリンピックの大舞台で躍動する教え子の成長には、正直涙が出るほど嬉しかった。そして私自身にとって二度目のブラジル渡航ではあったが、自らの感性を磨く好機を与えていただいたことに心から感謝をしたい。
 さて、今大会で初優勝を成し遂げた開催地U23ブラジル代表。そのサッカー王国ブラジルでの滞在中、自らの「心に感じた」我が国日本との差、『強さの比較』を簡単に示してみたいと思う。
 1、「母国愛」国歌の斉唱力(歌う人数、声の大きさ、姿勢、思い、誇り、覚悟)の差
 2、「強気」「闘志」のレベルが格段に違い、ピッチ上でハッキリと伝わるか伝わらないかの差。
 3、日常生活におけるコミュニケーション習慣(お互いを知り、相手を理解する)の差。
 4、日本は「指導者」が選手を育て、ブラジルは「国民」が選手を育てる。育成文化の差。
 5、ピッチ上でのボールを失わない能力と、ボールを奪う能力、チームの一体感と達成力の差。
 6、両親への感謝、「家族愛」の深さの差。(父の日を祝うため公式戦の予定が変更されるほど)
 7、「ルール」の中で行動する日本人と、「判断」を信じて行動するブラジル人との差。
 8、代表チームとしての「国」を背負う「重圧感」の差(生死の狭間の覚悟)
 等々、いくらでも感じ数えあげることができる。「サッカー」や「音楽」「コミュニケーション」を心から楽しみ、それが生活の中心になっているブラジル。メディア等で話題になっている「治安の悪さ」などは微塵も感じることはなかった。そして、まだ普及していないのかもしれないが、広場や公園にも行っても、「ポケモンGO!」をやっている人は一人も見ることができなかった。(笑)
 グループリーグの3戦目に対戦した日本とスウェーデン。両国とも試合後にグループリーグ敗退が決まった。期待を胸に観戦したが、その思いは叶わなかった。更にそこで見た「ある光景」に目を奪われた。それは敗戦後の「両チームの差」である。試合には勝利したが、グループリーグ突破を果たせなかった日本代表の選手達が、「無念の表情」を浮かべながらロッカールムームに引き上げる様子とは反対に、スウェーデンの選手は、敗戦を真摯に受け入れ、オリンピックという名誉な大会で「試合ができたことの意義」を称え合うかのように、選手一人一人が4人のレフェリー全員に挨拶と握手を求めピッチ内を歩き回っていたのである。この違いには正直驚いた。スタジアムで観戦していた多くの「サッカー好き日本人」が、この光景を「心」や「文化観」という視点で見ることができただろうか。私には、サッカーが『紳士のスポーツ』たる所以がスッキリ理解できた。これは、幼少時から「ルール」の中で行動させられてきた日本人の行動と、自らの「判断」を信じて行動してきたサッカー大国との差であることを痛感した。「紙で教えるリスペクト」や「リスペクトの強要」が国際的スポーツの常識であるかのように、平然と伝える日本サッカー界と、日常生活の中から「心で感じるリスペクト」や「リスペクトされる行動」が自然と実践できるサッカー大国との大きな違いを。
 このブラジルの地で感じた彼と我の多くの差は、まだまだ日本には遠い課題であることを実感させてくれた。この現実を見た一人の指導者として、『心のある選手』の育成に今後一層尽力していきたいと改めて思った。
2016/09/28 10:40
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