青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
ブラジルW杯に思う
 期待に胸を膨らませ、誰もが待ちわびたブラジルW杯。4年前の南アフリカ大会における岡田ジャパンのベスト16に、日本国中が大いに沸いたことは記憶に新しい。私も現地で観戦する機会を与えていただき、なまのブラジル代表やオランダ代表の試合を観る事ができた。それは今までテレビで見てきたものとは全く違い、一つ一つのパスやコントロールのクオリティーの高さ、厳しい状況においても即座に対応できる判断の早さ、こんなサッカーができるものなのかと、完全に度肝を抜かれて帰国した事を覚えている。その後日本代表は、国民の予想を大きく上回り、ベスト16という成績で大会を終えた。  達成感をと誇りを心に刻み、多くのメディアやサポーターの歓声に包まれながら、温かく迎えられた。  『日本サッカー界の将来は明るいぞ!』と聞こえんばかりの雰囲気が漂っていた。  実は今回のブラジルW杯惨敗の予兆となったのは、その次の瞬間だったと私は考える。空港に設置された記者会見の会場、祝福ムードで温かい空気に包まれた心地よい会場の中で、選手達はその冷めやらぬ勢いに身を任せた。そして大会2ゴールの活躍を見せた本田圭佑がインタビューで『ブラジル大会は優勝を狙います!』この一言が日本代表選手の目標設定を一気に吊り上げた。とてつもないハードルの高さであることを選手達は十分に認識していたはずだが、会場がそこに同調しない訳にはいかない『無責任な空気感』を作り出してしまった。メディアやサポーター、一般人までもが世界のトップレベルで優勝カップを高々に掲げている日本代表を安易にイメージしてしまった。まさに甘過ぎ、騒ぎ過ぎ、期待し過ぎ、サッカーを知らな過ぎ、そんな悲劇の瞬間であった。  そして4年後、現実を思い知らされることになった。影響力のある人物が放った一言が、この4年間をコントロールしてきたことは正直凄いことである。日本国民、サッカーファンは4年間素敵な夢を見させてもらった。  日本が戦ったコロンビアとの第3戦目は、3試合の中で一番良いサッカーをしていたし、勝ちたいという強い気持ちを感じたという人が多い。これがサッカーを知る国の文化と知らない国の文化との大きな違いなのだ。結果は1対4と完敗。得点を取らなければ後がない日本が攻勢に出るのは当たり前の話で、コロンビアは1点くらい取られても、カウンターでそれ以上に得点できる勝算はあったということだ。言ってみれば、試合はコロンビアに完全コントロールされたものであったということを認識しなくてはならない。日本のサッカーに対する捉え方はまだまだ浅く幼稚だということが言える。  1994年のアメリカ大会でコロンビアの英雄、キャプテンのエスコバル選手が自らのオウンゴールやチームの一次リーグ敗退により、帰国後射殺されたことは有名な話である。『オウンゴールをありがとう!』犯人のこの言葉の直後に12発の銃弾を撃ち込まれ、殺されてしまったのだ。彼以外の選手達は怖くて国に帰れなかったという。日本の選手とは『背負っているものが違う』そう考えざるを得ない。  今大会で誰もが感じた世界との『個の違い』この差を今後の日本がどのように縮めていくことができるであろうか。ボールを上手く扱う、よく走る、判断力を上げる、組織力を高める、そんなことは普通にどこにでも定着しているトレーニング形態だが、そんなこととは違う『目に見えないもの』を追求していかなければならないことは明確である。  『文化』『自立』『責任』『愛』案外そんなものかもしれない。サッカー強豪国と大きく違うものは、その『重さ』や『深さ』ではないだろうか。
2014/06/30 15:51
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