青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
日本の育成年代はこのままでいいのか?
 1993年、JFAはサッカーファンの期待を一身に背負いJリーグを華やかに開幕させた。老舗の名門クラブや新規に設立した市民球団、そして企業チームがJFAの厳正な審査を受け、10チームからスタートした。現在はJ1、J2、J3までがJリーグ加盟となり、現在までの22年間で全国各地に52チームと約5倍にまで膨れ上がった。歴史ある海外のクラブに習い、地域密着型の強化育成理念に基づき普及の輪を着実に広げていった。そしてどのチームも育成年代の強化で下部組織を保有し、トップチームへのエリート階段を準備してきた。JFA、Jリーグは着実に理想の歩みを進めてきたといえる。改変や改新を推し進めるJFAの改革には発展性があり、その勢いは日本スポーツ界を圧倒すると同時に日本国民に大きな楽しみと夢を与えてくれたと言っても過言ではないだろう。  下部組織の強化育成に力を入れたいJクラブは、全国各地にスカウト担当を走らせ、有望な選手を勧誘するため必死に動き回った。JFAは高校サッカーの歴史や魅力、貢献度などその価値や功績を認めつつも、当初掲げた『高J共存』のスタンスは、いつの間にか『J高強存』へと移り変わり、それまで80年の歴史を刻んできた高校サッカーの波をわずか数年で呑み込んでいった。苦しいながらも何とか普及や強化育成を維持し、地道に頑張ってきた過疎地域の公立高校は、残念ながら全国大会から姿を消さざるを得なくなった。ここ10年の全国大会においては、もともと地力のあった私立高校や、OB会や後援会などの強力な支援をもとに息を吹き返した公立高校、このJリーグの流れを上手く利用し現れてきた新鋭の高校などが名を連ねるようになった。  JFAが20年間全国各地に蒔き続けてきた『普及活動』の種が、『選手』や『指導者』といった多くの色鮮やかな花を咲かせ、そして近年においては世界からも注目される『有望な選手』という幾つかの甘く大きな実を付けてきたと、私はそう確信している。まだまだ完熟とまではいかないが・・・。  今年、U16日本代表とU19日本代表がそれぞれAFC選手権で意図する結果を残すことができず、それに伴いU17、U20ワールドカップに出場することができなくなった。日本のサッカーは育成年代で世界を知る大切な機会を逃すことになった。U19に関しては、もう4大会連続で本大会出場を逃している。いつも敗戦の弁は『内容は良かった!』『悔しいけれど、いい経験ができた!』『目指している方向は間違っていない!』これに尽きる。しかし過去(1993年)のU20ワールドユースでは、高原(清水東)、小野(清水商)、本山(東福岡)、遠藤(鹿児島実)らを要して世界の舞台で見事準優勝を果たしている。この時代は高校サッカーで活躍した高体連出身の選手がメンバーの大多数を占めていた。現在の代表チームのメンバー構成は、2、3人を除いては殆どがJリーグ下部組織出身の選手で、『裕福』で恵まれた環境に慣れ親しんできた彼らと、当時結果を残した彼らが過ごした育成年代における『環境』や『歩み』『鍛錬』の方向は180度変わったといえる。こんな便利な時代だからこそ、意図して『我慢』『辛抱』『忍耐』を求め与えていくことが必要で、ここから培われる『工夫する力』や『奮起する力』が、真の強い『精神力』を生み出し『負けない力』に変わっていく。それが世界との勝負において最も重要なことだと私は思う。  『高校サッカー1000日の業』という言葉があるが、実はその『業』の積み上げこそが『真の精神力』を生み出し、『忍耐力』を育て、『戦う力』となる。我々指導者は、この戦うための『スタンダードベース』が今の育成年代で最も欠如しているということを認識しなくてはならない。  『心技体』今のユース年代は、日々のトレーニングによってサッカーの『技』や『体』は学ぶが、『業』や『鍛錬』をもって習得できる戦うための『心』の部分が養われているとは思えない。戦国時代に生きた『侍の精神』からは程遠く、このままでは『魂』の抜けた名ばかりの『サムライJAPAN』が後に誕生することになるだろう。弱い者いじめは得意だが強い者には怯んでしまうし結果も出せない、そんな貧弱な『サムライJAPAN』は誰も見たくない。  日本のサッカーは『育成強化のボタン』を掛け違えたまま必死に走り続けてきたのかもしれない。  Jリーグの『看板』にはとてつもない影響力やブランド力があり、ブランド好きな日本人の性格上そこに飛びつくのは自然の流れといえよう。ブランド物のバッグや靴に象徴されるように、手に入れるまでは頑なに闘志むき出しで努力するが、手に入れたあとは今までの努力も忘れ去り、優越感に浸り現状に満足してしまう、そんなことが普通になってしまっている。大学受験のための受験勉強も案外そんなものではないだろうか。  世界と戦い打ち勝つために、育成年代で既に身に付けておかなくてはならない要素『肝心なところで力を出し切れる強い気持ち』『劣勢状況にも立ち向かえるしたたかな勝負勘』『強いメンタリティーの持続力』『勝利することへの絶対的な拘り』など。  この年代は、どのような環境で育成されることが日本サッカーの『明日への扉』を開くことになるのであろうか。理想論ではなく、事実についてもっと深く考える必要があるのではないだろうか。
2014/12/12 09:37
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