青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
スパイクとの関係から学ぶ
 赤、青、黄色のスパイクが深緑のピッチを縦横無尽に駆け回る。この光景は確かに人々の目には色鮮やかでとても綺麗に映る。しかし我々40代以上の指導者の感覚では何か違和感を感じる。特にここ5年における各メーカーの方向性は目まぐるしく変わり、人気傾向は『材質』よりも『カラー』が優先となり、昔からの黒スパイクを履いている者を見かけることは殆どなくなった。近年では、インターネットで自らが配色を自分好みにデザインできるものまで存在する。  私が子供の頃は、誕生日やクリスマスに買ってもらったスパイクが嬉しくて、練習後は必ず汚れ落としクリームで土や泥を拭き落とし、布で靴墨を塗り込み、毛ブラシで気持ちを込めて丁寧に磨き上げ、更に母親の使い古したストッキングで自分の顔が写るくらいにピカピカに磨きまくったものだ。その磨き上げたスパイクに自らのゴールを祈念し、明日の勝利を夢見ながら枕元に置いて一緒に寝たものだった。日々の練習や試合で汚れたスパイクを家に持ち帰っては同じことを繰り返していた。使う毎に柔らかくなってくるスパイクの皮が自分の足にフィットし、裸足でサッカーをやっているような、そんな感覚でボールを蹴った時の優越感は今でも忘れることができない。  今の時代、大抵のサッカー選手は、有名プロ選手が履いている新しいデザインのスパイクに憧れ、すぐに飛びつき購入し、新しいモデルが発売されるとまたすぐに購入する。常に流行のスパイクを何足か所有しておくことが試合に向けての『最高の準備』だと思っている者さえいる。親に買ってもらったスパイクに『愛着』を持って可愛がる(磨き育てる)選手が少なくなってきたことを、指導現場において容易に実感できる。  もちろん、幼少から夢や憧れを持ち有名プロ選手のプレーを真似しながら成長することは大いに必要で大切な事ではあるが、サッカー用具の類似からだけでは『自己満足』や『勘違い』という選手にとってのマイナス要素を生む危険性がある。世界のプロ選手は、そこに辿り着くために様々な『努力や苦労』を積み重ねてきているのだ。指導者としては、是非その『努力と苦労』を真似して欲しいものである。  『勝負の神様は細部に宿る』は、元サッカー日本代表監督である岡田武史氏の言葉である。選手があまり重要視する事のない細かな部分に気を配り、意識し行動し続けることができるか否かが勝敗の最後を決定づける大きな分岐点になることを意味する。サッカーは最も不確定要素の多いスポーツであり、選手はそれを少しでも確定要素に近づけるよう取り組み、ひいては勝利の確率を上げるための作業を怠ってはならないということだ。それはピッチ内外に限らず、自分自身に起こりうる予期せぬ危機を自らが察知し、未然に食い止める作業であるとも受け取れる。  冒頭述べたように、たかがサッカースパイクかもしれないが、次から次へと新しい物に気持ちが乗り移ってしまう執着心のない意識そのものが、勝負から掛け離れていく原因だということを理解して欲しい。流行やトレンドを否定するつもりではないが、少なくとも勝負事に絶対必要な要素ではないという事と、自分が日々大好きなサッカーをやれるのは、日頃お世話になっている親が購入してくれた用具のお陰でもあり、そこに感謝の気持ち、『愛着』を忘れずに大切に管理し育てていって欲しい。その精一杯可愛がった用具(気持ち)が、苦しい時にきっと自分を助けてくれるだろう。  試合における勝ち負けの前に、一人のサッカー選手としてもっと考えるべき事があるのではないだろうか。  サッカーをやるための『本当の準備』(細部への気遣い)ができているのかどうか、もう一度考えてみて欲しい。
2015/03/01 08:27
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