青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
80%の全力を覚えた青年たち
 全身汗だくで泥まみれ、大声を出しすぎて声もガラガラ、そして喉も渇いてカラカラ。無我夢中でグラウンドを走り回った学生時代。練習中水が飲みたくて、倒れそうで少し休憩したくても、それでも水分補給は果てしなく長く厳しい練習後しか許可されなかった30年前。いついかなる時でも自分自身を限界まで追い込み、そして追い込まれもした。もう走れなくて、何度もグラウンドに倒れこんだ若き時代の苦い記憶は今でも鮮明に蘇る。練習中に少しでも水を飲んでやろうと、真っ黒い土のグラウンド上に何度もダイビングヘッドをし、顔をグラウンドに擦り付け、わざと口の中に土や泥を入れ込んで、うがいをしに行く機会を作り、隠れて水を飲んだものだった。  30年後、指導者が『〜を限界までやろう!』や『〜を100%の力で!』と要求してもなかなか意図する行動や取り組みが見えてこないのはなぜだろうか。私の要求値が高いのも理由の一つだと思うが、その選手が実際にどれくらいの力があるのか、またその競技への情熱や思いがどのくらい大きいものなのか、理解に苦しむ事例がとても多くなった。覇気がなく魂のない状況を日々の練習で何度も指摘されるが、誰かが自分を導き助けてくれるのを当てにしているのが見て取れる。もっと自分自身を前面にさらけ出し、闘志むき出しで向かっていく姿勢が見たいし、また育てたい。そんな彼らの大人しい性格は持って生まれたものなのか、育った環境や教育に原因があるのか。勝負の場で求められる『欲』や『闘争心』が足りない。もっと引き出したいし、もっと見たいと私はいつも思っている。  会社や組織においても、若者の活動状況を見て『期待外れ!』が予想通りで当たり前の結果や評価になることが常識化している。時代がもたらした難しい現場の状況に、指揮官としては深く悩まされるとともに難しい判断が求められる。多くの指揮官は、ある程度『残念な結果』を想定しつつも次の手段を検討していることが多いのではないだろうか。これは『ネガティブ』な期待感とは異なり、組織における最低限のリスクマネジメントと言わざるを得ない。『ポジティブシンキング』や『プラス思考』は、何らかの有益な裏付けの下に成立する上昇思考であって、自分自身を強引に説得し前進させられるほど単純な思考方法ではない。そんな感覚は、スポーツの現場に限らず職場や家庭においても、大方の人が耳にし、目にすることが多くなってきたのではないだろうか。そんな非力な青年たちが増え続け日本の未来を支えていくことに対し、不安を抱くことさえある。  近年の教育の流れとして『褒めて伸ばそう!』が浸透しているが、どんなことでもむやみに褒められることに馴れすぎてしまった少年たちは、褒められる本当の『価値』や『喜び』を得られないまま青年期を迎えてしまったのかもしれない。危険だから冒険しないし、失敗が怖くてチャレンジしない。そして70%や80%程度の頑張りでも『素晴らしい!』『よく頑張った!』と評価され、100%の心や情熱がなくても安易に褒められ続けてきた。そんな無責任な教育方針を推奨してきた平和な日本のあり方にも問題があるのかもしれない。  まだ気づいていないかもしれないが、80%を全力と覚えてしまった青年たちには、今からでも自分の本当の『全力』を知ってもらいたいし、可能な限り『限界』を求めて続けて欲しい。君たちはまだまだやれるし、もっとできるはずである。自らの『限界』を知り、そこに辿り着いた時、更に新しい『限界』が現れるだろう。それが真の『成長』というものだ。チームや仲間のために自らを『全力』で追い込み、真の『達成感』や『喜び』を掴み取って欲しい。  『求めた自分』が忠実に『応えた自分』に与える『100%の勲章』を獲得し続けて欲しい。そして、それこそがどの現場においても求められる『活きた行動力』となる。
2015/06/11 09:49
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